2026年3月7日
村上春樹の小説「騎士団長殺し」より
1.小説「騎士団長殺し」のあらすじ
肖像画家の主人公は妻に別れを告げられた後 喪失感にとらわれ各地を車で放浪し最終的には友人の勧めにより高級老人ホームで病に伏す高名な肖像画家の空き家の山荘を紹介されそこに住み着きます
その山荘の屋根裏部屋に封印された肖像画を発見しそれを開けます
それが「騎士団長殺し」の肖像画です それから不思議なことの次々と起こります
まず主人公だけに見える自ら騎士団長と称する「イデア=真実」が現れます
そして主人公がそのイデアより自身である「騎士団長」を殺すように命じられます
それを実行するとことで「みたいなもの=メタファ」の世界を彷徨しメタファの力を借り現実世界に戻ってきます
その後妻とよりを戻し 子供を得育てることで肖像画家として再出発をしていきます
「絶望→自らの人生観の破壊→母体への復帰→誕生→再出発」の物語です
2.イデアとメタファ
イデアは「真実、本質」 メタフアは「らしき」と訳されています
村上さんはプラトンから学びました
我々は大神神社にり参り参道をいくと何かしら荘厳な気配を感じますそれが「メタファ」です
古代から日本人は山、川、大きな岩には神が宿るとして信仰してきました現代人より強く感じていました
古代インド人(ドラビィダ人)も同じようにメタファを感じていました
そこへアーリア人が入ってきました
彼らはそれを神格化しさらに人間と同じような彫刻、絵画に表しました
仏像の誕生ですそれはイデアです
又かってサラスバーテイという美しい川がありました
それを神格化し彫刻にしましたそれが弁財天です
このようにして次々とイデアが現れました
日本に仏教が伝わりました
それは当時の最新の科学であり文化でもありました
天皇、豪族は競って寺を作り仏像を安置しました
貴族は自宅に仏壇を作りさらに庶民も仏壇を自宅に作りました
聖武天皇は大仏を作り伝染病を鎮め社会の不安をなくし、仏教に基ずく国家を作ろうとしました
まさに仏像はイデアでした
1500年にわたってこのように人々は考えていましたが、科学、医学が進むにつれてこれは妄想だ仏像は偶像だと思うようになりました
廃仏毀釈が始まり 仏像はドンドン壊されていきました
この危機を救ったのは「岡倉天心、フエノロサ」です
彼らは仏像から宗教性を取去り 「美しい形=美術」として再出発しました
私の先生「松久宗琳大仏師」は形にこだわりました
美しい形を追求しました
ところが我々が仏像の展覧会をすると「仏像をこんなに沢山作ってどうするのですか」という人がいます
この人達にとって仏像は祖先の魂が宿るお祀りすべきものイデアなのです
又宗琳先生のお父さん「松久朋琳大仏師」は「一人一仏のすすめ」を提唱し、一般の人にも仏像が彫れるよう指導しました
3.まとめ
日本人は神社に参り、「メタファ」を感じ、お寺、博物館に行き、仏像を美術として鑑賞し、家では仏壇をこしらえ「イデア」として祀るのです
そして、一般の人にも仏像を彫れるよう指導しているのです
日本人の本性とは、全てを受け入れるということなのでしょうか?